荒川さんちの静香さん。

荒川 in torino


女子フィギュアの荒川さんが金メダルを獲得しました。今日は朝からこの話題で持ちきりですね。
はてなのキーワードでも「荒川静香」のエントリー数は相当なものになっていると思われます。
ソルトレイクの時は金メダルを獲得できなかったので、冬季五輪で君が代を聴いたのは
なんと8年ぶりということになりますね。


個人的な荒川さんの印象は、あまり目立たないものでした。
長野五輪に出たときも、結果がついてきませんでしたし、
オリンピックシーズンではないときのW杯でチャンピオンになったといっても、
世間的な注目と変わらず、「ふーん」という印象でした。


どうも日本人にはアジアすぎた顔立ちとそこからくる冷たげな印象が
あまりよくなかったように思われます。その代わりロリ系の若手が持てはやされる。
中国大陸でもそうですが、幼児性のある愛嬌の方がアジア人にはウケがよく、
欧米で評価されるようなクール系はそれほどでもないような感じでしょうか。


その通りに、メディアも若手若手と安藤を中心に、
奇跡の復活を遂げて滑り込んだ村主さん(@ピアノの先生っぽい)
を取り上げていたので、荒川さんに対する関心度も高くなかったのです。
しかし、欧米メディアやプロの方の目からすれば一番有力だったのは荒川さんだったわけです。
一発技の4回転を持つ安藤や、技術云々より印象に残る村主さんの方が一般ピープルには
わかりやすかったのかもしれません。ルッツもサルコートゥループもわかりません。


ライバル関係の村主さんとはよく比較されていました。
天才・荒川に努力の村主。「クールビューティ」の名の如くなにか正確無比な技術で勝負する
荒川さんに、表現力で勝負する村主さん。好対照ですね。
感情をあまりあらわさない荒川さんを名前の如く「静」とするなら、村主さんは「動」でしょうか。
TV解説していた佐藤さんの両親にコーチしてもらっていたというのは面白いところです。


オリンピック以前、
技術云々の詳しいところがわからない私としては、なんかすごそうな気迫を感じていたのは
村主さんでした。「泣きの演技」とでもいうのでしょうか。
荒川さんは、直前の大会で新採点方式を意識するあまり、「楽しくない」滑りになっていた
ようで、それが原因で負けたみたいなことを書かれていたように思います。
それでただ得点を狙うだけの演技ではないように考え方を変えたようです。


しかし、オリンピックに入ってからはずいぶんと印象が変わりましたね。
肩の力がいい具合に抜けているというか、自然な笑顔がでてきました。
この人こんな顔もできるのかと思わせるほど印象が変わりました。
どちらかというと小雪系統の荒川さん。間違いなく弥生人系です。
コンディション的にも良かったから自然と笑顔が出たのかわかりませんが、
「クールビューティ」の名前はもういらないと言えるほどの感情を表した演技は、
会場の反応からしても伝わってくるようでした。


SPでは、ゾフィー兄さんを思わせる衣裳で、最高の技術点でさすがと思わせ、
TOP3は1点差以内という混戦でフリーを迎えました。


TOP3ではコーエンが最初に出てきました。
他の人はどう思われるかわかりませんが、自分は生理的になにか受け付けません。
USAのうざさがどこかしらつきまといます。どうも私はあのしたり顔が許せません。
公式練習を休むという万全の状態ではなかったのか、2回も転倒しましたが、
持ち前の柔軟性とまとめ方で、昔の私じゃないわよオーラを出して来ました。


それでも転倒したことで少なからず期待してしまった自分がいました。
直後に登場した荒川さん。それまでファンというわけでもなかったのに、
失敗するなーと祈るような気持ちで見守る自分にどこか不思議な感じを受けました。


演技が始まってハラハラしながらも、ジャンプを次々とこなし、
日本人としては恵まれた体躯を最大限に生かしたパフォーマンスを繰り広げる
荒川さん。SPでとっさに回転数を減らして乗り切った戦術を再び使い、
そして出ましたY字バランス。さりげなピースも見逃せません。
さらに出ました「イナバウアー 」! 今大会で初めて覚えましたイナバウアー
なにか格好いいぞイナバウアー ! 24はジャック・バウアー!!



       /⌒`ヽ
  二 と(、A , ) つ  < イナバウアー
 三    V ̄Vノ( ゝ
  二    └=ヲ└=ヲ


         _ ∩
      ⊂/  ノ ) /
      /   /ノV   イナバウアー 
≡≡≡≡し'⌒∪    \
     '┴┴ ┴┴'


最後のキメの笑顔がとっても自然でした。


演技終了後、パーソナルベストを更新する得点が表示されたときの驚き
次の選手が滑り終わって、メダル確定したときにカメラが追ったときの笑顔。
いままでにない「人間味」を感じた瞬間でもありました。(失礼な話だ)
あぁよかったなと心から思えました。


それに対して見た目以上に思ったより点数の出なかった村主さん。
プロの見る目は違います。スローじゃなくても何回転かわかるのがさすがです。
SPの時の方が気迫がこもった顔してましたし、演歌を歌わせたらはまりそうな
表情で演技されていました。


大トリに登場した女王スルツカヤ
この人ばっかりは侮れません。安定した演技で定評でしたから。
しかし、「まさか」の転倒。女子フィギュアロシア初制覇と今大会フィギュア種目ロシア全制覇
のプレッシャーが相当だったのでしょうか。前回大会からまたもや金を逃す結果となりました。
転倒した瞬間、やべー荒川さん金かよ。と脳裏をかすめ、
メダルが取れるか取れないかで右往左往していたメディアも、一番いい色のメダルが取れたことで
かなり舞い上がることだろうなと思われました。


金メダル確定。いよっしゃー! やりました。
目立たなかった荒川選手が、日本よりも外国でオリエンタルな魅力をもつと評価された荒川さんが
天才が楽しんだ演技をした静香ちゃんが、ついに女子フィギュアでアジア初の金メダルを獲得したのでした。