エキシビション

秋山莉奈


約2週間に渡ってさまざまな競技が繰り広げられたトリノオリンピックも、
閉会式を迎え、つつがなく終了しました。
始まってしまえば早いもので、なんだかあっさり終わってしまった印象です。
それだけ「一発勝負」の重みがあるということでしょうか。
4年に一度の一発勝負。


週末、日本のテレビ各局はこぞって金メダル獲得に沸き、
急遽荒川選手の秘蔵VTRを引っ張り出して、編集したりして、
本当にお疲れさまでした。
メダル獲得のあと、成績上位者によるエキシビションがあり、
そこには4位に入った村主さんと金メダルの荒川さんが登場し、
その模様もつぶさに週末の情報番組では伝えていました。


ある情報番組でのこと。
画面に表示されているテロップが「エキシビョン」だったり、
女性キャスターが「エキシビョン」と言ったかと思えば、
ナレーションでは「エキシビョン」と言って、番組内で表現上の「揺れ」がありました。*1


散々言われていることかと思いますが、
元の単語は「exhibition」(エキシビョン)と濁りません。
「公開 展示 展覧(会)」といった意味です。
元の「exhibit」(イグジビット)は濁りますが、「exhibition」は濁らないと思います。
そのわりには、エキシビジョンとも言われたり、思われていることが多いようです。
とりあえず、間違えたくなければ「エキシビション」と言うようにしましょう。
試しに「エキシビジョン」を国語辞典で調べると
エキシビション」と直されます。この表現の「揺れ」は辞書を作る側にもわかっているようです。
言うなれば、シミュレーションとシュミレーションの表記の違いのようなものでしょうか。

  • (参考)


ATOKのアシスト機能でも「シュミレーション」と打とうとすると「シミュレーションの誤読」と出てきてくれますが、
エキシビジョンの場合はそうでもありません。気にするほどの表記の違いではないということでしょうか。


一つの仮説を考えてみました。
エキシビションマッチというと、サッカーの場合親善試合のことをそう言ったりするのですが、
お客を入れてココとココの国が対戦するのを見せますよ。というわけです。
展示・展覧の意味からすれば「見せる」ということは似たような意味だと思うのですが、
ここで英語には「vision」(ヴィジョン)という単語があります。
「視力, 視覚; 見ること」と「見る」にまつわるワードです。


電化製品でもTVに「ピュアビジョン」という名前のものもありますし、「オーロラビジョン」もあります。
比較的に聞きなじみの英語になっていると思います。
もしかして、この「vision」という語彙・語感に引っ張られるような形で、「エキシビション」が「エキシビジョン」
になっているのではないか。と勝手に思っています。「エキシビジョン」の「ビジョン」にあたるように。
外来語として日本語の一部になる際に、元の発音とは異なるものになることは他にもあるかと思います。
「日本語英語」として、「エキシビジョン」は今後も残っていくのでしょうか。


私は、「エキシビション」を応援しています。

*1:どこかとは言いません。

*2:ただし、Googleでは「もしかして シミュレーション」とただし書き